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ベランダは野菜王国

ベランダの野菜 020


わが家には、ベランダが2つある。それぞれ10㎡ほどの小型ではあるが、日当たりのよい庭園である。たいして不満はないが、願わくば両方を合体した大きめのベランダが欲しいところ…。

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ひとつは、少々北にふれた西側のベランダ。午前中は涼しく、夕方になると西日で焼かれるが、季節によっては居心地のよい場所になる。

ここは、もっぱら花を咲かせおわった植物の休息地になっている。

お礼肥をたっぷりあたえ、剪定などして身軽にくつろげるよう感謝をこめてお世話させてもらう。

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ベランダの野菜 022

もうひとつは、少々南にふれた東側のベランダ、ここが野菜にはもってこいの一等地。早朝の柔らかい陽光と澄んだ空気がさわやかにただよう至福のひとときを野菜たちは満喫している。


ベランダの野菜 005

雨上がりの朝などは、空気中のチリやホコリが洗われ、視界はますます透明感を増す。

深呼吸すると、体
中の細胞が生き
かえったように伸
びやかに動き出し、頭から爪先まですっきりと浄化され
て、命がふきこま
れたような全身の
軽さをおぼえる。

  
ベランダの野菜 004

ベランダの野菜 017


野菜たちがよろこぶはずだ。生物であるかぎり、命をあたえあう食物連鎖の宿命を負わざるをえない。この野菜たちは、わたしと家族のために生きているのだ…だから一生懸命食べてあげよう。

ひとひらも、ひとかけらも残さず…あたえてくれた命を無駄にしてはいけない。そんな気もちで向きあいながら、肥料をあたえ灌水する。
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毎年豊作のミニトマトは、たべきれず茹でて冷凍にしておくことが多いが、冬の間にソースに化し、多くはスパゲティにからめてつかう。おいしさはもんだいではない。いとおしさの混じった格別の味わいがある。


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トマトを甘くするには、乾燥ぎみにそだてるのがよいらしい。

葉がしおれようがグッと我慢し、水はおあずけ。

  
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そうして実のうまみ成分を凝縮させるのだそうだ。さらに糖度をあげるには、米ぬか石灰有機肥料をつかうとよいとのこと。化成肥料は甘みの敵ということになる。


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米ナスは今年初の挑戦。すでに大きな実がふたつ収穫できた。いま、つぎつぎと花をおとし実を充実させつつある。
ベランダの野菜 002


ベランダの野菜 013

「秋ナスは嫁に食わすな」という
封建的家族制度のもとで
うまれたことばが、
大好きなナスへのほめことばとして
使われてきたのはとても
残念であるが、それにしても、
嫁でなく妻の立場で
おもう存分食べてきたわたしは、なんと幸せものだろう。


  
ベランダの野菜 015
ベランダの野菜 019


もっとも頻繁につかっているのは青ジソである。毎日20枚以上、結構な量だが摘んでも摘んでもつぎつぎと柔らかい大きな葉をつけてくれるシソの生命力には、絶大なる信頼をよせている。


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ネギ類は薬味として使いたいわが家では、多くはいらないが年中ほしい食材である。

このワケギは、一昨年前から球根の数をふやし、ことしは当初の4倍になった。

縄文時代の集落跡から炭化したネギの球根が発見されたという話は、知る人ぞ知る学術情報であるが、このネギには、そのDNAが引きつがれている…のだ!!
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ミツバには、一番おいしい時期にたべてあげなかった罪悪感がのこる。

そろそろ初老をむかえるが、その香りを失うことなくシャンとした気風を保っている。

私の大好きな生き方である。
わが身をいたわるように最後まで面倒みよう。

芳香野菜のセロリ、ゆでると粘りのでるモロヘイヤ。ともに古代エジプトでは重要な役割をしていたという。

セロリは、再生・復活の旅にでる王の棺にいれられ、哀しみと死の象徴とされた。


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モロヘイヤは、非常に栄養価の高い王様の野菜宮廷野菜であった。

王侯貴族たちの生と死を分かつふたつの野菜。

たまたま並べて栽培していた偶然の驚異…敬意を持って一心に水をやる。

  
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若いツルを油でいためるとおいしいと、ホームセンターの可愛い女店員が説明してくれたツルムラサキ

熱をとおすと妙なあじになる。
天ぷらにすれば野草でもかなりおいしい……

ためしてみると、あの奇妙な味はきえ、申し分のない食材になった。
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