高石神社の流鏑馬

駅前の大通りに面した階段状の歩道をのぼりきると、幅広いゆるやかな坂道にでますが、しばらく進み左折したとたん恐ろしく急勾配ののぼり坂においこまれて、神社まで途ぎれることなくつづく歩行地獄を体感することになるでしょう。

平成３１年１月１４日10：00 から高石神社伝統の流鏑馬合字が開催されます。
神主、神社関係者による行事が終了ご、一般参加者も弓矢を射ることが出来ますので老若男女ふるってご参拝ください。

途中、足の筋肉がけいれんして、何度も休憩しながら這々のていで行きついた鳥居をくぐると、参道の両脇にたたずむ２体の狛犬が、まっかな唇をふるわせるかのような歓迎ムードで迎えいれてくれました。
しかし、ホッとしたのも束の間、その先にある境内は、階段を20段ほどのぼった高台にあり、最後の力をふりしぼってやっと到着です。

今日は、流鏑馬が行われる日とあって境内には多くの人々があつまり、参拝客も列をなして神さまへの願いごとをたずさえてきています。賽銭が投げられ、２礼２拍手１礼がくりかえされていました。

由緒によると、社殿は、承応３年（約330年前）に加賀美金右エ門（父親は甲州武田の一族）によって創建されました。

大正11年には、高石地区に分散していた春日社、御獄社、熊野社、富士浅間社、八幡社などを合祀し、社殿も増改築して現在の拝殿、幣殿、神饌所、奥殿となったようです。その後昭和50年、本殿を改築して神楽殿が併設されました。

流鏑馬の始まりは不詳ですが、隆盛期は鎌倉時代、源頼朝が好んでおこなったとされ、清和源氏の氏神である八幡社が全国に勧請されるにつれて流鏑馬文化も広まっていったのではないかといわれています。

流鏑馬は、「馬上で的を射る」武芸で、五穀豊穣や戦勝を祈願して神前で奉納したのが神事としてのはじまり、もとの名称は「矢馳馬（やばせうま）」だったのが変化したものだそうです。

1922年から境内でおこなわれてきた高石神社の流鏑馬は、馬をつかわず立ち姿で矢を射る歩射というスタイルですが、かつては地元の馬場で農耕馬を用いておこなっており、五穀豊穣を占う行事とされていたようです。

新年を祝う祈年祭がおこなわれた後、AM10時ごろ、いよいよ流鏑馬がはじまりました。宮司が弓をとり、鬼門と鬼門返しに矢を放った後、所定の位置につるされた直径35cm の２つの的に約５m離れた立ち位置から射るという技をみごと成功させました。

つぎは保存会（高石流流鏑馬保存会）の方々の登上。直垂（ひたたれ）に烏帽子（えぼし）、裃（かみしも）などの装束を着け、それぞれが地域の人々の祈願を背おって3本の矢をあてがわれ、真剣な眼差しで的に向かいました。みごと7本的中！おおきく太鼓が打ち鳴らされました。

使われている弓は、境内で育てたガマズミの枝、保存会の方々の手づくりで1.8ｍほどに切って糸を張ったものです。矢は細い葦の茎のような形状…破魔矢のそれと同じものに見えますが、いざ弓に矢をつがえ放ってみると案外飛ばないもの。

保存会の方に手とり足とり丁寧な指導をうけて…的にむかう人々の運勢はいかに？挑戦者がずらりと列をつくりました。的中した人には、爽快な太鼓の音とともに家内安全・開運の札をつけた武蔵の国高石神社のりっぱな破魔矢がいただけます。そして、今年は無病息災の年になるそうです。