川崎市内最大の緑の宝庫生田緑地、その一画にかつて東洋一といわれたばら苑があります。多摩丘陵の一角をなすこの生田緑地は、桝形山と飯室山の大部分を取りこむ約180ヘクタールの広大な地です。
多種多様な木々のそよぎと、澄んだ湧き水のせせらぎを抱く豊かな自然の中に、岡本太郎美術館や日本民家園、プラネタリウムなどが置かれ、中央の広場には蒸気機関車D51も展示されています。
ここから、緑地内遊歩道をとおる裏門ルートで徒歩20分、緑地の再端、府中街道に面した丘陵に、緑の樹林と清涼な大気につつまれた美しい花苑があります。
「多摩丘陵の雑木林をぬけると、ふいに姿をあらわす秘密の花園」といわれ親しまれている生田緑地ばら苑です。春は533種、約4700株、秋は440種、約4000株の薔薇が咲き乱れ、訪れる人々を魅了しています。
ここは、かつての小田急向ケ丘遊園の跡地。
この遊園地は、1927年に開園、1958年に30周年記念事業としてばら苑が作られました。
秩父宮妃殿下や高松宮妃殿下が来苑されたというこのばら苑は、池を配した造園の美しさも評価され、東洋一のばら園と賞されたようです。
しかし、残念ながら2002年に閉園が決まり、その際、ばら苑の存続を望んだ多くの市民の要望に応えて川崎市が維持管理をひきつぎ、薔薇の開花時期に合わせた春・秋の一般公開を開始したということです。
苑内にはいずれも四季咲きの、豪華な大輪種ハイブリッドティー、中輪種のフロリバンダ、つる薔薇のクライミングローズ、小輪種のミニチュアなどが栽培されています。
現在、ここはロイヤルコーナーとして皇室にちなむ薔薇が集められ、人々を惹きつけるメインスポットとなっています。
さらに、パーゴラ通りに置かれた「白鳥と子ども」の像、中央の丘に置かれた「母と子」の像は、多摩美術大学教授早川巍一郎氏の製作によるものです。
川崎市は、このばら苑を市民とともに支えあう施設と位置づけ、施設内管理や薔薇の育成にかかわる市民ボランティアを受けいれています。
また、ボランティアの技術向上のために専門講師による指導をおこない、来苑者にはばら苑募金を呼びかけるなど…ばら苑を愛する様々な人々を巻き込んで充実したプログラムを展開しています。
50周年を迎えた2008年にはこのばら苑募金が活用され、ロイヤルコーナー隣にイングリッシュローズガーデンが新設されました。
多くの人々の善意により、生田緑地ばら苑は着実に成長しつづけています。
今年は天候にめぐまれ、薔薇に限らず多くの花々が開花時期を早めています。ばら苑の今年の公開期間は5月16日(木)~6月2日(日)、この撮影は5月末日に行いました。
最盛期をのがした感はありますが、まだまだ美しさをとどめて迎えてくれた花々に感謝!です。
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